「NU-EMI体験談 理学部3年 Tさん

みなさま、こんにちは。

お元気ですか?昨日はよく降りましたが、やはり一雨一雨ごとにあたたかくなっていますね。

さて、今日は秋学期もG30講義を受講され、またNU-EMI Grad School Seminarのリーダーをしてくださった、3年生のTさんから、G30授業体験記が届きましたのでご紹介しますね。

 

********************************************
NUEMI 体験談

NUEMIは2年生の夏に先輩に勧められて知ってから現在まで大学生活の大切な一部となっています。そんなNUEMIを今後受講を考えている日本人学生の参考になればと思い、私の体験談を紹介したいと思います。

私はNUEMIに大きく分けて2つの関わり方をしているので、どちらも共有させていただけたらと思います。

 

G30講義

一つ目は、NUEMIのチューター制度を利用したG30講義の受講です。

私はこれまで多くのG30の授業を受講してきましたが、その中でも特に思い入れがある2つの授業での体験を共有したいと思います。

Special Mathematics Lecture 

一つ目は、Serge Richard先生による’Special Mathematics Lecture (以下、SML)’の授業です。

この授業はSerge先生が毎学期テーマを変えて行っているもので、内容は数理学科でも学部4年、大学院で学ぶほどの高度な内容を扱います。私は2023年秋学期の’Introduction to stochastic culculus’と2024年秋学期の’Diffrential geometry’を受講しました。過去には他にも関数解析、グラフ理論、群論など多彩なテーマがあったようで、数学が好きな人にとてもお勧めできます。

ただし、注意点があって、それは全てを理解しようとしないことです。Serge先生も授業中におっしゃっていましたが、この授業は本当に難しいので、特にB2以下の学生は雰囲気を「感じる」だけでも十分だと思います。実際、私もB2の秋学期に受講したものはそんな感じでした。しかし、その時に理解できなくても後でそこで「感じた」ことは必ず役に立ちます。例えば、僕は非平衡統計力学という物理学の理論を学ぶ際にこのSerge先生の授業でほんのり覚えていた確率過程についての感覚がとても助けになりました。

数学(特に純粋数学)の授業では、定義、定理、証明の決まった流れで進みがちなのですが、SMLは一味違います。SMLではそのような流れを採りつつも、形式的なことではなく、抽象的な概念の感覚、その概念を導入するモチベーションに重視が置かれます。これは僕が専攻している物理学のような数学を言語として使う立場の人にとって非常に重要なことです。ですので、純粋数学専攻の人だけでなく、物理学、経済学のような分野の専攻の人にもお勧めです。実際、受講している学生は数学、物理学、経済学、化学、生物学など多岐にわたり、学年もB1から博士課程の学生まで幅広くいました。国籍、専攻、学年と色んな意味で多様性にあふれている僕が大好きな授業です。

少し話が専門的になってしまったので、ライトな話も。

Serge先生の教育に対する熱意がすごく、一人の人間としてとても尊敬できる方です。常に学生に気を遣ってくれ、学生もSerge先生の熱意に呼応しているように感じられました。初めて受講した時は不安でしたが、数少ない日本人学生である僕に折に触れて気にかけていただき、不安を解消することができました。

また、チューター制度も利用させていただき、その制度には本当に助けられました。特に2022年秋学期は僕にとって初めてのG30講義の受講だったので、一人で授業に入っていくのは難しかったかと思いますが、チューターさんのおかげでスムーズに入ることができました。また、普段のチューター活動では、お互いの学術的な興味が似通っていたこともあり、SMLの内容に加え、理論物理学の話や海外大学院進学の話など幅広いテーマで盛り上がることが多かったです。おかげで受講する前はほとんど話せなかった英語にそれなりに自信が持てるようにもなりました。

このように、SMLは難しい数学を身に着けてみたい人、色々な多様性に囲まれて勉強してみたい人に強くお勧めです。迷ったらぜひ受けてみてください。ちなみに2025年春学期のSMLはゲーム理論の授業です。

Statistical Physics 2

二つ目はWojdyo John先生による’Statistical Physics 2(以下、SP2)’の授業です。

先ほどのSerge先生のSMLでは、日本人学生は少ないながらもいらっしゃたのですが、John先生の授業では僕が唯一の日本人学生でした。NUEMIのサイトのTime Tableにも載っていない授業だったので、数少ない体験談としてシェアさせていただければと思います。

NUEMIのサイトに記載がないにも関わらず受講しようと思った理由には、2点あり、1点目は、単純にこの授業の内容である統計物理学に強い興味を抱いていたからです。2点目は、この授業のシラバスを見て、この授業のただものでない雰囲気に興味を持ったからです。類似の授業を日本語コースで既に受講していたのですが、それとはまるで違うだろうと直感しました。

実際その勘は色んな意味で当たっていました。

まずはとにかく授業の時間が長いです。5限に設定されているので、16:30に始まるのかと思いきやその時間に教室に行っても学生が数人いるだけで先生はいません。17:00過ぎ頃にようやく先生がやってきて、雑談をしながら準備をします。そうこうしているうちに結局始まるのは17:30頃なんてことはよくありました。そして授業が終わるのは遅いときでなんと22:30。John先生は「終電までに終わればいい」なんておっしゃってましたね。1日5時間近く講義時間があることに呼応して、大体授業開始から2時間くらいすると’Konbini break’というJohn先生の合図で先生含めみんなで大学内のファミマに行き、夜ご飯を買って腹ごしらえするという文化がありました。授業のインテンシブな雰囲気から一転して、この時間ではリラックスした雰囲気で先生も交えて雑多な話で盛り上がりました。話題は色んな国の文化になることが多く、この時間は多くのことを知れ、とても楽しい時間でした。

授業自体は、僕の統計物理への興味に十分すぎるほど応えてくれ、とても充実した内容でした。最初は熱力学から始まり、そこでは熱力学の理論の全体像を把握でき、その理論の美しさを感じることができ、理解が深まりました。後半は統計力学の内容では、最初に十分に直感的なモチベーションを把握したうえで理論的な背景を詳しく説明されていました。

講義は毎回一回当たり30ページ超の講義ノートを基になされ、授業中には消化しきれない内容の消化に役立ちました。

また、授業は終始インタラクティブな雰囲気で行われ、学生も積極的に発言、質問します。休憩時間にも学生同士で議論することもあり、その姿勢にはとても刺激されました。

僕は別の授業の関係で受講できなかったのですが、この授業の演習(tutorial)の授業もあり、そこで実際の問題を解くことで理解を深められるようになっています。

このように、John先生の授業(SP2以外にもSP3, QM2, QM3)は日本人の感覚からすると常識破りな点が多いですが、それだからこそ楽しいですし、’Konbini break’で文化的多様性も大いに感じることができます。全ての人にお勧めできる授業ではないですが、物理学に対して強い情熱をもっている方であれば、必ず期待以上のものが得られる授業です。


講義外にて

ここでは、チューター制度全般について話したいと思います。チューター制度は大変すばらしい制度で、講義外でも良い作用を及ぼしています。

John先生のSP2の授業で仲良くなったG30の友人とSerge先生のSMLでチューターを担当してくれたG30の先輩と場の量子論という物理学の理論の勉強会(自主ゼミ)を2月頃からしています。そこでは、John先生の授業よりも活発な議論が飛び交って、毎回のゼミはすごくインテンシブなものです。僕もこのゼミのおかげでさらにアカデミックな内容を英語で理解、主張する力が身についてきていると感じています。

このように同じ志をもち、学び合える友人を得られたこともNUEMIを利用してよかったと思えることの一つです。

学生チーム

G30講義受講以外のもう一つの関わり方はNUEMIの学生チームでの活動です。

NUEMIには、G30の講義のサポートの他にも、Food for Thought や Career Seminar といった有志の学生によって企画、運営されるイベントがあります。

この学生チームは主にG30の学生からなり、僕を含む数人の日本人学生も参加しています。

NUEMIや留学の経験を通して大学院留学に興味を持っていた私は海外大学院についてのセミナーである、Grad School SeminarのProject leaderを務めることになりました。

私は以前からグローバルエンゲージメントセンター(GEC)の多くの国際交流イベントでスタッフとして活動していましたので、ある程度はやっていけるのではという自信がありました。しかし、それらは主に日本語でコミュニケーションをとっていたため何とかなっていたのですが、NUEMIではG30学生もいるため英語でコミュニケーションをとり、企画を進めていく必要があります。言語の壁などの原因から戸惑いが多く、落ち込むこともあったのですが、徐々にその環境にも慣れていき、最終的には周りの学生の助けもあり、何とか企画を終えることができました。

とはいえ、自分の貢献度は低く、反省点がたくさんあるので次回のGrad School Seminarに生かしていきたいと思います。

背景の違う人とプロジェクトを進めるという大変貴重な体験ができ、とても有意義なものになったと考えています。

最後に

長文になってしまいましたが、最後まで読んでくださった方ありがとうございました。僕がNUEMIを含む国際交流活動に参加するようになったきっかけは本当に偶然でしたが、一旦入ってみればものすごく世界が広がります。日本にいながらにしてこのような体験ができているのは名古屋大学に入学してよかったことのひとつです。この文章をきっかけに少しでもNUEMIに興味をもっていただければ幸いです。僕も名古屋大学での残り一年間NUEMIでの時間を大切に過ごしていきたいと思います。

********************************************

とても詳しく授業の体験談を書いていただいて、とても参考になると思います。

また、秋学期は学生チームに加わってくださりありがとうございました。

NU-EMIを目一杯活用してくださり嬉しいです。引き続き、よろしくお願いします!

シェアしていただきありがとうございました。(JH)