「NU-EMI体験談」理学部 2021年3月卒業 Tさん

こんにちは。今回は、NU-EMI2018 Fallから2年半受講された、Tさんに書いてもらった「NU-EMI体験談」をご紹介します。
Tさんは、Serge Richard先生の"Special Mathematics Lecture"を2年間受講され、海外大学院進学を予定しているそうです。
G30講義とNU-EMIの体験を細かく書いてくださいました。ぜひご参考にしてください。
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私は名古屋大学理学部数理学科を20213月に卒業し、2018年の秋学期から2021年の秋学期までの2年間半NU-EMIプロジェクトに参加しました。NU-EMIプロジェクトが発足したのは2018年の秋学期なので、在学中はフルにNU-EMIプロジェクトを利用したことになります。NU-EMIプロジェクトに参加していたことは、アメリカの大学院への出願でとても役に立ちました。そこで、どのようにNU-EMIプロジェクトが役に立ったのかを中心にこの体験談を書かせていただきます。これからNU-EMIプロジェクトを利用する方やすでに利用している方の参考になれば幸いです。

 

私は数学専攻なので、Special Mathematics Lectureという講義に4年生の終わりまでずっと参加していました。この講義は少し特別で、全ての学年を対象に春学期と秋学期の両方で開講されています。各学期で扱われるテーマが全く異なるので、何回受講しても新しいことを学ぶことができます。基本的にはセルジュ・リシャール先生が講義を担当していて、私の場合は2018年秋学期から2020年春学期までの2年間、ずっとリシャール先生から教わりました。こういった講義の利点として、先生と仲良くなりやすいということが挙げられます。後の方にも書きますが、アメリカなどの大学院を受験するときはお世話になった先生からの推薦状が(通常は3通)必要になるので、複数の先生に自分のことをよく知ってもらうことが重要になります。私は指導教員の先生、学部で何回か講義を受けたくさん質問をした先生、そしてリシャール先生の三人に推薦状を書いてもらいました。

 

初めてSpecial Mathematics Lectureの講義に参加したときは、英語で数学の授業を受けるということと、実はその講義の内容が名古屋大学理学部数理学科だと学部4年の春学期で扱うようなトピックだったことから、当時学部2年生だった私には非常に難しくかなり大変でした。しかし、学年を重ねるにつれて、初めはノートを取るだけで精一杯だったのが、最終的にはノートを取りながら授業をある程度理解し、黒板でおかしなことが書かれているときに講義中に質問するといったこともできるようになりました。

 

NU-EMIのサポートとしては、Study SessionというG30の学生と日本人学生が集まって(先生無しで)講義の内容について議論したり一緒に問題を解いたりする集まりに2018年秋学期から2020年春学期まで参加していました。Study Sessionに参加したことは、スピーキングの練習にとても役に立ちました。週に一回、90分(またはそれ以上)の時間を英語でのディスカッションに当てることになるためです。実際、⾧期休暇後は学期中に比べて英語が上手く出てこないということもあったので、継続してStudy Session に参加したことはかなり意味があったと思っています。また数学面でも、そこで知り合ったG30の友人達からはかなりの刺激を受けました。彼らは新しい概念を理解するのがとても早く、初めの方は一方的に教わることしかありませんでした。しかし3年生になってからは、日本語で学んだ数学の知識が増えたこともあり、議論に対等に参加できるようになっていきました。

 

Study Sessionの中でG30の学生の中では海外の大学院へ進学するという選択が割と普通であるというのを知ったのもあり、その頃初めて海外の大学院への進学を考え始めました。また、(私の記憶が正しければ)2019年の7月にNU-EMIプロジェクトが主催する海外大学院説明会に参加したことも大きかったです。そこで初めて、アメリカの5年一貫の大学院のプログラムでは授業料免除に加えて生活費として給料が出るため、合格してしまえばお金の問題はないということを知りました。また、2019年の10月末にはNU-EMI主催の海外大学院進学のためのワークショップに参加しました。リシャール先生もそれに参加していて、ワークショップのあとにリシャール先生に海外の大学院への進学を考えていることを初めて伝え、アドバイスをもらいました。これがきっかけで、その後も留学に役に立ちそうな奨学金の情報などをメールで送っていただいたりしました。他にもいろいろと気にかけてくださったので、リシャール先生に相談してとても良かったです。

 

3年生の秋学期(ワークショップのすぐ後)にはリシャール先生に促されて、国際会議を聴講するための費用を出してくれるプログラムに申し込みました。これは海外大学院への進学を目指す日本人学生が海外の先生とネットワーキングを行うことを支援するためのもので、ホテル代と航空券代を出してくれるというものでした。申し込んだところ採用され、実際にアメリカでの講演を現地で聴講することができたことはとても幸運でした。ただ、順風満帆というわけではありませんでした。国際会議への申込みは自分で行わなければならず、日本から学部生が行くのは普通ではないということもあり、申し込んだにもかかわらず名簿に名前が載っていないということがありました。これについてはリシャール先生に相談しました。リシャール先生から主催者の方に事情を説明してもらったところ返信があり、なんとか無事参加できることになりました。これについても、一人で抱えず先生に相談してよかったです。

 

海外の大学院へ実際に出願する際にも、NU-EMIプロジェクトに参加していたことはプラスに働きました。私はアメリカの6校に出願し、それぞれの学校で3通の推薦状が必要で、そのうちの一つをリシャール先生に書いてもらいました。推薦状の中で、私がリシャール先生の講義の中でとある定理に関するプレゼンテーションを行ったことについて触れてくださったと聞きました。特に、私のプレゼンテーションはNU-EMIのホームページにアップロードされ、そのリンクを推薦状に載せてくださったので、大学院側に私がどのくらい話せるかを具体的に知ってもらうことができました。数学をするのに十分な英語力があるかどうかという点で大学院側に安心してもらうことができたのではないかと思います。

 

また、2年間G30の講義を受講したということもCVに載せることができました。その他にも、リシャール先生にTutorに興味がないか聞かれ、経験のために4年生の春学期だけStudy SessionTutorをさせてもらい、それをTutoring ExperienceとしてCVに書くことができました。またアメリカの大学院に進学したG30物理学科の先輩で、同じくリシャール先生の講義を受けていた方がCVや志願理由書を参考に見せてくださいました。さらに志願理由書についてはアドバイスや添削までしてくださいました。NU-EMIプロジェクトでの縁を通じて参加した国際学会についても、大学院の志願理由書の中でアピールできました。このように、NU-EMIプロジェクトに参加していたことは大学院の出願の際にも非常にプラスでした。結果として2校に経済援助付きで合格し、すでに進学校を決めて今は渡航の手続きをしています。

 

私の体験談が、NU-EMIプロジェクトの利用の仕方の一例として参考になれば幸いです。この体験談では上手く行った部分を中心に書いたのですが、実際には物理のG30講義に参加してみて途中で断念したりしています。最終的にNU-EMIプロジェクトからたくさんの恩恵を受けられたのは、運が良かったことが大きかったです。お世話になった先生方やNU-EMIプロジェクトにはとても感謝しています。ご支援をいただき本当にありがとうございました。

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Tさん、合格本当におめでとうございます。素晴らしい体験談ありがとうございました!(JH)
*今後も、受講生の体験をシェアしてもらって、皆さんにそれぞれの頑張りや思いを伝えていきたいと思います。(執筆協力者大募集中です!)